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圓尾blog 最近の投稿

2008年12月11日(木曜日)

生命保険のなぞ

カテゴリー: - maruo @ 12時17分10秒

手術したり入院したりした患者さんの生命保険の書類。私達はそういう診断書を書く事も日常の仕事の一部ですが、忙しかったりするとなかなか書類の山に入ったままでお渡しできなかったり、機械的になるだけであまり情熱をもってできる仕事ではないのが正直なところです。

ほとんどの患者さんはちゃんと生命保険に入っていて
「備えあれば憂い無し」
の気持ち、とても大事だとは思うのですが
ワタクシ、そろそろ40歳を目前にしても生命保険、入っていません。

「若いときに入っておかないと後で入れなくなるよ」
なんて言われる気持ちも分かるのですが
「若いときに入ってたらそれだけ支払う総額も大きくなるじゃん!」
って思うし

「いざと言うときに困るでしょ」
と言われても
「貯金で何とか」
って思うし

「生命保険はあなたの愛する人への最後のラブレターです」
なんてかっこいいこと言われても
うちの場合は’日本語で書かれた’ラブレターをあげてもきっとその意味を理解できずに終わってしまいそうな夫がいるだけですから、私が万が一先になくなってもその後はもう知りようも助けようもありません。子供がいれば、子供が独立するまで、というのは理にかなってると思うのですが。

だいたい、生命保険が降りるために書類を書いてくれた病院側(医師側)にそのコストも払わなくてはいけないし、どんな風に書かれるか分からないし(?)もしかしたら、保険金がおりないかもしれないし、とっても面倒で、性に合いません。

テレビであれだけ生命保険のCMが流れていることから考えたって、生命保険レディがあれだけ腰が低くて忍耐強くて足繁く通ってくるところから考えたって、そのコストは膨大でどこかで加入者がそのCM代金や人件費分まで支払っているとしか思えませんよね? 噂によれば生保レディってノルマがあったり営業うまいひとはお給料に反映されたりすごい世界なんでしょう?入って得する生命保険なんて、ギャンブルみたいだわ。

私にはいくつかいきつけのネット情報源がありますが
「ネット生保、いよいよ凄いことになってきました!」
http://NEDWLT.exblog.jp/10294728/
なんて書かれてしまったら素通りできませんでした。

へ〜ライフネットですか。

どうも画期的らしい、というので見てみました。

おすすめは目からウロコの保険塾。

こちら

このイラストが好みです、しかもデザインが誰にでもわかりやすいようになっていてほんといいですね。

確かに、貯蓄型保険はちょっと怪しいとずっと思っていたので、このライフネットの掛け捨て保険の考え方に賛成。ライフスタイルに合わせて保険見直しにも賛成。日本人がそんなに保険大好き国民であったことにもびっくり。日本の医療制度では病気になっても破産してしまうような一大事になることもないのに!(注:アメリカでは映画sickoでもあったように大変なことになっちゃうケースもあるけれど)

もし保険に入ることにしたならば、ここのライフネットを使おうかなあって思わせてくれるような保険会社ですよね

でも、将来何があるかは分かりませんが、とりあえず私は保険金を払うよりも日々「病気にならない生き方」を実践したい派です。食事、運動、健康への関心。保険に入るよりももっと大事なことです。病気になってお金もらうっていってもたかがしれているし、それで生活が保証されるわけではないですから、生命保険のなぞ、みなさんのことも是非教えて下さい。


2008年11月27日(木曜日)

自治体と健康組合の怠慢!

カテゴリー: - maruo @ 18時17分58秒

先日、夫宛にイギリスから転送されてきた手紙

何やらこんなものが入っていたというのです

大腸がんの早期発見に役立つと言われている便の検査キットと案内です
ある年齢に達すると自動的に無料で受けられる検診の案内が必ずくるのですが、その一部だったわけです

夫はタイプA君ですから、もう、こんなものが来てしまったら
「きちんと調べないと」→「癌を見逃してしまうかもしれない」
ということで
イギリスに便のサンプルを送り返すわけにはいかないだろうということになり
開西病院にお願いして、たまたま時期的にタイミングがよかったメタボ検診と一緒にやっていただきました。

そういえば、イギリスでは…。

私のところにも必ず「子宮がん検診」を受けるように手紙が来ていました。30歳以上の女性であれば2−3年に1回は必ず来ているものでした。

検診、と言っても無料だし、ほぼ1年通して一本電話を入れればいつ行っても受けられるような簡単なスメア検査で、家庭医のところに行くと、愛想のいい'おばちゃん'ナースが問診をとってくれて、雑談をしながらブラシで子宮頚部のところをゴシゴシして5分くらいでささーっと終わってしまうような簡単な手続きだったので、その案内が来ると行くようにしていました。検診ですからお医者さんに会わなくてもいい、んですよ。楽でしょう。

そのスクリーニング検査に一度ひっかかってしまったときも、6ヶ月ごとの検査でいいですよ、ということで、また6ヶ月で手紙が来るものですから、あまり苦にもならずに続けることができました。

でも、今は?

帯広(うちは中札内だけど)ではそんな無料検診の案内、来た事ないなあ。東京都豊島区に住んでいたときには来ていたような気がするのに…

…と疑問に思い、ちょっと調べてみたら。

こんな記事とか

こんな記事

子宮頸がん検診
普及しない本当の理由は自治体と健康組合の怠慢!?

昨年までは30歳、35歳、40歳・・・・・と5歳刻みの節目年になるとお誕生日の月に姫路市から「子宮がん検診無料券」が郵送されてきたのにこれが2008年、4月から変わりました。
まず、対象が「今年度満20歳と満40歳を迎える女性」のみとなりました。

検診いままでは1回/5年だったのにもう「一生に2回だけでいいんですか?」と聞きたくなりますよねえ。いえ、一般人だったら、検診なんて特に子宮がん検診なんて気が重いですから、もう無視したくなっちゃいます。

住んでいる市町村によって無料だったり無料でなかったりある決まった日にちに受けなければいけなかったり申し込みが事前に必要だったり、あんまりにも統一性がなくてバラバラなんですね!

これじゃあ、住民として混乱します。帯広ではこうで、音更ではこうだって言われても、ねえ、開西病院にも帯広市内だけでなくいろんなところから患者さんはやってきますし。

ちなみに私の住んでいる中札内では、申込み期間平成20年6月17日までに保健センターへ申込み、実施日が平成20年7月23日の午前中のみ!という、一体全体誰がこの検査があることに気付いて、誰がこの検査を受ける事ができるんだろうかと呆れ果ててしまいました。

ちなみに帯広市で推奨している検診の案内は例えば、前立腺がん検診とか骨粗鬆症検診ですが、病院のこんなところに「ご案内」として貼ってあるだけで

目立つわけでもないし、一体誰が読みますか?という感じです。
しかも無料ではないですしね。帯広市の案内だけですしね。

いくらなんでもこれじゃあ個人の健康に対する意識が低いのは当たり前ですよ。

基本的な検査を年1回受けられる制度を作るべきです。そして、「気付いたひとだけ受ければいい」丸投げではなく、100%の検診受診率を目指して自治体が努力すべきです。それでこそスクリーニングの意味があり、病気の早期発見・早期治療に役立つ制度になるんですよね。

こちらにものっていますが、帯広市をはじめ、地方自治体の検診、見直して頂きたいですね。


1.基本健康診査、がん検診、歯周疾患検診の自己負担額を無料にしてください。また、実施期間を限定している市町村は、実施期間を通年にしてください。集団方式に限定している市町村は、個別医療機関委託方式も実施してください。

2.子宮がん・乳がん検診を2年に1回としている市町村は、年1回にしてください。

3.前立腺がん検診を年1回受けられるようにしてください。

4.歯周疾患検診を年1回受けられるようにしてください。少なくとも、老人保健法で定められている40・50・60・70歳の節目年齢においては必ず実施してください。


2008年11月17日(月曜日)

大腿骨頚部骨折の治療法

カテゴリー: - maruo @ 18時43分42秒

大腿骨頚部骨折の治療法です
勉強会の資料ですがのせておきます
なんかものすごくスライドがでっかいんですが(汗)


血流


転位のあるなしで分ける


マルチプルピンニング(マルピン)


人工骨頭


ガンマネイル


外側骨折には手術前に3D−CTが有用


転位がない骨折にはMRIのT1が有用


2008年11月14日(金曜日)

中学生からの質問状

カテゴリー: - maruo @ 17時54分57秒

職場体験で今度は中学生の質問に答えなくてはいけないことになりました

就職のときでもなんでもinterviewはあるもので
過酷な質問でもどうやって答えるかでそのひとの個性が垣間見えるというものですが、もうグットクエスチョン!の連続で当日頭がもつかどうか不安です。

頭の整理も含めてちょっと書いておきますね
もし職場体験の中学生たちが「出来る」子達だったらきっと来る前にこのブログを見て来てくれるはず。そうだといいな。楽しみに待ってますよ〜。

Q. 開西病院はどんなことを専門にやっているのですか? どんな科があるのですか?

整形外科が中心(表の顔)の病院で大抵の整形外科的疾患には対応できるようになっています。脊椎、上肢、下肢、側弯症、人工関節、関節鏡、靭帯再建、腫瘍、リウマチなど。その他に(いわゆる裏の顔である)外科がありまして、内科の先生方と合わせて病院が支えられています。整形外科というと「美容整形」を思い浮かべるかと思いますがそれは形成外科になります。皮膚科形成外科もありますので、皮膚疾患や形成外科にも対応しています。

ちなみに整形外科と書くと中国では(美容整形などの)形成外科の病院を指し、整形外科は骨科と書かれます。個人的には「骨科」のほうが混乱が少なくてよかったなあ。

Q. 職員は何人くらいいますか?

非常勤というたまにしか来ない先生を除いて、お食事やおそうじは他の会社に委託しているのでその方々を除いて、269人、だそうです(今確認しました)。

Q. 一日の主な仕事内容はどんなことがありますか?

とにかく、人と会う、仕事ですね。話す、検査をする、説明する、確認する、
などなど、普通は人と会うといっても握手ぐらいで触ったりすることはないでしょ?病院では触ったり押したり動かしたりします。そういう特殊なところです。

カルテを書く、書類を書く、というようなこともありますが、専門用語がいっぱいあるので普通の人はなかなか読めないかもしれません。暗黙のルールみたいなものまであります。場所が変われば人のカルテの読解も難しくなります。

整形外科ですから手術もあります。よく計画して、いいところで切って、体に分けて入って、骨を出して、うまく骨を切ったり金具を入れたり、何層も縫って、包帯を巻くところまでしっかりやります。

麻酔のかかった患者さんをベットからベットに移動させるような力仕事ももちろんあります。手術の後のキズをチェックしてきれいに消毒したり包帯を巻いたりするのも交代でやりますが、私はこのキズチェックの係が結構好きです。包帯巻くのって楽しいですよ。

Q. 一日の勤務時間はどのくらいですか?

朝8時前に来て、夜7時くらいに病院を出るのでだいたい11時間ぐらいでしょうか。がんばれば5時半に終わって帰ることも可能です。

昨日長崎先生と話していたら以前勤めていた病院では4年間ずっと朝7時から夜12時まで働いていたそうです。夜12時前に帰る事なんてなかったなあって。毎日夕食は出前のラーメンとか丼ものだったんだって!野菜たべないと元気でないですよねえ

Q. この仕事をしていて大変なことはなにかありますか?一番大変なこと、難しいことはなんですか?

患者さんが痛くて辛くて不機嫌で不幸でそのままその不幸をすべて丸投げされるのが大変です。「なんでもいいから治してくれ」という責任転嫁型ですね。不幸ってどうしてもひとからひとに感染しやすいものなんです。患者と医療者がチームになって一緒にがんばるのが理想的なのだといつも思います。治療が思い通りに全て100%うまくいくわけではないことも大変辛いです。全て100%みなさんに「よくなった」と言ってほしいのですがそうはいかないんですよね。あとは自分の体調が悪いときもつらいですね。

Q. この仕事をしていて良かったと思う事はなんですか? 一番楽しいことはなんですか?

医療という閉ざされた世界の「内側」に居れて良かった(笑)。きっと全然関係のない仕事をしていたら「医者は信用ならん、病院は嫌いだ」と思っていたと思います、それだけ外からはわかりにくい特殊な世界なんですよね。

楽しいことはいろんな人に会える事。しかもどんなにエラい政治家だろうがスポーツマンだろうがどんなに有名な芸能人だろうが、そのひとと「同等」の立場で話せるのはすごいことだと思います。同等どころかちょっとえらそうにアドバイスまでできちゃうんですから。

Q. この仕事に就いて良かったと思うときはどんな時ですか?

家を借りるときとか車を買うときとか文句無しにすぐさま信用してもらえるとこと。社会的に確立されたポジションがあるのは日常生活が楽ですね。

あ、本当は患者さんに喜んでもらった時、ていうのがいい答えでしょうか。

Q. 仕事中に心がけていることはなんですか?

主観的でもあり同時に客観的でもありたい。患者さんを自分の母だと思って治療しなさいと言われますが、やっぱりほんとうの母だとあまりにも主観的になりすぎてうまく治療できないだろうし、もちろん、自分自身のことになったらもうどこにも客観性がなくなってただのほくろを「このほくろは癌だろうか?」と本気で心配しはじめたりして平静を失ってしまいます。赤の他人であれば客観的すぎて数字だけ見てしまうような「情」に欠ける医療になってしまいます。その中間をうまくバランスとれるようになりたいなあと。

Q. 看護師、医師で大切なことはどんなことだと思いますか?

これひとつ、という答えはないですね。もし20年前の中学生だった自分に必要だったもの、ならば、知的好奇心のすすめです。薄っぺらな知識ではなくもっと深く理解した知識、自分で食い下がって掘り下がってこだわってみるのは大事だなあ。それが結局自信になる。今後の日本のキーワードは「自信」だと思います。自信があれば自分も他人も大事にできますから。

Q. 医師不足が問題になっていますが何か困っていることはありますか?

帯広は比較的医療には恵まれていると思います。やはり地方に行くと、医師不足の現状があり、患者さんの立場でも働く医療者の立場からも両方大変だと思います。特に緊急の事態で、治療が遅れることによって命に関わったり予後にかかわったりするような時、近くにきちんと対応してくれる病院がないのは不安であり、苦痛であり、そして不公平だと思うのです。医療というのは教育と同じで誰にでも平等にアクセスできる状態にあるのが理想だと思うのですが、その理想を実現させるには今度は国民の税金がかかりすぎて国が破産してしまうことになりかねません。

Q. 医師不足に対してこれからどう対処していくべきだと思いますか?

うわ〜 こんな難しい問題、答えられません。実際ほんとうに医師は不足しているのかどうか、というところから議論がされているのですからねえ。
他の人々がどんな風に考えてるのかちょっと他のサイトからの医師不足を解消するために、どのような施策を進めるべきか、いろんな意見を出しておきますので(むずかしいですが)見て下さい

・勤務医の労働環境の改善(長時間労働の解消、給与の増額など)
・女性医師の離職防止・復職のための支援(短時間勤務制度の整備など)
・産科、小児科、救急、へき地医療への支援(診療報酬増額、医師への直接的なインセンティブ制度など)
・医療事故における訴訟リスクの低減(無過失補償制度の整備など)
・医療事故における刑事処分の見直し
・医師配置基準の見直し(常勤ポストの増加)
・病院機能の集約化
・卒後臨床研修制度の見直し
・指導医、大学教員の待遇改善
・コメディカルの増員、ルーチンワークのサポート
・専門医数のコントロール
・在宅医療の推進
・崩壊した医局制度の復活

Q. 救急車をタクシー代わりに使ったりちょっとしたことで病院に来る患者さんがいるときいた事がありますが、開西病院では実際にそういうことがありましたか?

これもよい質問ですねえ…

最近は救急のトリアージという優先順の区別をつけるやりかたが浸透してきたので、ずいぶん救急車がタクシー代わりという患者さんは減ったような気がします。

実際「ちょっとした」打撲とか切り傷とか腰痛で病院に来るひとが外来診察の60~70%くらいにはなるかなあ…かなりの数ですよ。もちろん患者さんのほうは「ちょっとした」なのか「治療が必要な重大な」なのかの区別がつかないことも多いのだとは思いますが、慌てて救急外来に駆け込む前に、本来ならばもう少し「様子をみる」おばあちゃんの知恵を身につけて医療費をうまく節約してほしいですね。

当日またいろいろお話しましょう。


2008年11月10日(月曜日)

足がつる/こむら返り

カテゴリー: - maruo @ 21時53分03秒

こむら返りは英語ではmuscle cramp (クランプ)といわれ、誰でも経験がありますね!原因もはっきりしないことが多くミネラルが少ないとか筋肉の疲れだとか言われます。面白いことにイギリスでこむら返りというと「治療」は決まってトニックウオーターなのです。義母にこむら返りの話をしたらそういう時のために(?かジントニックのために)とトニックウオーターを常備してあると言っていましたし。

トニックウオーター、ご存知ですか?お酒をトニック割りするためのお水です。このトニックウオーターに苦みをつけるために少量のキニン/キニーネというお生薬が含まれています(注:日本で買うトニックウオーターには入っていないことが多いそうです)。このキニン、生薬として筋肉痛、関節痛、こむら返りにきくんですって。イギリス人がインド経営に成功したのは彼らが毎日ジントニックを飲んでいたからだという話さえあるほど、らしいですから、ジントニック恐るべし。まあ、そうはいってもトニックウオーターには治療で使われる量の1/4くらいしか含まれていないようで、定期的にこむら返りを起こす患者さんにはキニンが治療の量処方されていることもあるんだそうです。

キニンという物質なんですけどね、もともとはマラリア(主に熱帯地方で蚊に刺されて媒介される高熱を出す病気)に効果がある(キニンがマラリア原虫に毒性がある)ということが発見され、治療に用いられているものです。wikipediaによるとキニーネはもともとはキナという木の皮に含まれる生薬で、南米の原住民は古くからアンデスの高地に生えるキナの樹皮がマラリアに有効であることを知っていたとされます。アスピリンが柳の木の皮から抽出されたように痛み止めや筋肉痛をとめる作用のある木の皮というのは現地住民はよく知っているのですね。

生薬といえば、漢方にもちゃんとこむら返りに効くものがあってとても有名です。「芍薬甘草湯」。つってからのんでから約5分で効くのですよ。だから普通の漢方のように毎日3回飲む必要はなくて頓服で良いと言われています。つい先日たまたま遊びに来ていたイギリスの教授が「最近足がつって困る」という話をしているのを聞いて、トニックウオーターと比べてください、とツムラの芍薬甘草等をプレゼントしました。さて、どっちが効きますかね。

私の印象では腰の悪い人(腰部脊柱間狭窄症など)は「よく足がつる」とおっしゃいます。よく足がつる、という方は、一度腰を調べてみる事もおすすめいたします。どうぞご相談下さい。


2008年10月23日(木曜日)

職場体験の中学生

カテゴリー: - maruo @ 13時35分32秒

今日、開西病院に職場体験の中学生が6人来てくれました

職場体験、というものの一貫なんだそうです
選ばれしその子達は
4人の男の子は将来医師になりたい希望があり
2人の女の子は看護師さんを目指している
という強者でした。

こちら、悩んだ挙げ句クイズを用意して待っていました。
そのクイズは
「キミの想像する’人工ひざ関節’をデザインして下さい」
というもの。

いちおう膝の仕組みを模型で説明して
コンセプトを説明して
5分という短い時間でGO!
みんな一生懸命書いてくれました。

なんというか、こういうものをサラサラと楽しそうに悩まずに書いてくれる子というのはいいですね。考えちゃって筆が進まずに、結局ナンにも書いていない子、というのは将来お医者さんになってもらうのは考えちゃうなあ。こんな単純なクイズでもはっきり将来有望な子、って分かっちゃうんですね。

あとは、女の子二人はもっと「私女医になるんです!」みたいな高飛車な態度をとってくれたらもっと面白かったのに(笑)

結局、いちばん賢そうな田中君(仮名)が書いてくれた複雑な人工ひざ関節が気に入りました。せっかくですから皆様にも公開。

ほんとは結構単純入れ歯みたいなんですよ、人工ひざ関節って。
こうやってみると子供の想像よりなんかつまんなくってありきたりですな。

想像力があって、言葉などの表現力があって、興味いっぱいで
変な質問しちゃう、みたいな子がお医者さんとか看護師さんに向いていると思います。中学生、まだまだこれからです、がんばって!


2008年10月21日(火曜日)

子供っぽい社会

カテゴリー: - maruo @ 16時12分27秒

先日Mr&Mrsスミスというハリウッドもりもりの映画をテレビで放映していたので、何とはなしに見ていたのですが、アンジェリーナジョリーって、すごいですよね。映画の設定ではあるんだろうけど、彼女の「媚びない」ところ、あのタイプってアメリカでないと生まれないだろうと思われる女優さんです。アクセサリーもほとんどつけないし、ストッキングを履かないナマ足、白か黒か(ピンクなんてあり得ない)のタイトなシンプルな洋服。自信満々で。彼女のような「大人」なひとを日本のテレビではほとんどみないですよね。ひとくくりにしてしまって申し訳ないけど日本ではたしかにきれいなお人形さんのような女優さん達ばかりで、ロングな睫毛で目ぱっちり、きらきら、ふわふわ。子供っぽいほうが受ける。

そうそう。日本社会は子供っぽい。

レストランやカフェに行くと、ほんとうにシンプルで無駄のない料理やコーヒーが出てくるところがなくて、ケーキにしてもシフォンケーキやらミルフィーユやらふわふら。サクサク。見た目重視。モダンジャズやらオルゴール音楽やらバックグラウンドに流れていて、そんな媚びたBGMなんて要らないんだけどなあ。清水でカフェを経営しているひとが言ってたのですが、タルトの外側がちょっと固いとお客様、食べてくれないんで、と。この前も、「硬い」って文句いわれたし、って。柔らかいものばかり好んで食べる傾向もありますよね。私はがちっとしたタルトが好きなんですけど日本ではなかなかお目にかかれません。

そうそう、日本社会は過保護でもある。

札幌帰りのJRの中で、一体全体何度アナウンスが流れれば気が済むんだろう?まずはレコーディングした音声案内で「この列車は7時58分発釧路行きです。停車駅は……です。あと何分で発車します。お見送りの方は….. 」その後はご丁寧に英語で「This is a train to Kushiro. We are stopping at …..」と延々と続いて、その後も引き続きマイクを通しての肉声でのアナウンス。多分乗車から発車して15分以上はノンストップで案内しているのですよね。そんなに何度もご丁寧にご親切にアナウンスしないと日本人は電車を間違えて乗ってしまうのかしら? もちろん停車する駅は事前にも忘れずに何度もアナウンス。車内の前方には電光掲示板でお知らせがあるのに。

私がイギリスエディンバラというところで働き始めた頃、はじめは田舎暮らしをしていたので1時間くらいかけて職場まで通勤しなければいけなかった時期があったのです。電車は遅れたり来なかったりすることもまあざらでしたが、それより何より車内で次に降りる駅のアナウンスなんて一切ありませんでしたから、降りる駅が近づいてくると次だっけ?ここだっけ?と慣れるまでドキドキしたものです。でも大人だもん、誰かに「はい、ここで降りるんですよ」って言われなくてもほんとは大丈夫なはずなんですけどね。

学会でドイツ首都ベルリンに行ったときも電車の乗車券は購入したはいいけどどこにも改札口もなければ車掌さんが切符拝見にくることもなく、あっけにとられました。知り合いのドイツ人に訊いたら、「時々抜き打ち検査はあるよ」ということでしたが、乗車券を買って乗るという当たり前のことを誰しもが実行するだろうという前提のもとで動いている社会は大人だなあと思いましたね。

テレビをはじめとして、グラフィックも子供っぽい。
ここから、例えば中札内村です、っていう看板、あのマスコットキャラクターなんかがそうですし。

どうしてアートの村にこんな子供が喜びそうなキャラがついてくるのでしょうか?更別のどんぐりくんキャラにしてもどこに行っても漫画中心。

先日、ある短大に講義に行ってきた高下先生、その感想が
「いや〜幼稚園みたいでした」。
授業はじまって5分である女子生徒は手をあげて
「先生、トイレに行っていいですか?」
ときいたそうですが、おいおい、講義はじまってまだ5分なんだけど?
私語も多くて何度も「うるさい!」ってどなったり注意をしなくてはいけなかったという悲惨な学校。もう義務教育は終わっているのですが。勉強したくてきているわけではないのでしょうね…

「カワイイ」から脱却しましょう。「過保護」やめましょう。
大人なひとの大人な社会、私も目指しているんだけどなあ。


2008年10月9日(木曜日)

映画が見たい

カテゴリー: - maruo @ 13時59分44秒

見えなくても映画が、見たい。

前回もコラムを書いて下さった平塚裕さんから届きました、映画の話。

私は、視覚障害者です。みなさん方は、目が見えない人は、テレビも見なければ映画なんて見ないと思ってませんか? 音楽は好きでも、映画には興味無いと言う人は健常者にも 居るでしょう。その逆に、視覚障害者にも音楽好きのほかに 映画/テレビ好きが、居ます。

なにを隠そう 私は、テレビ/映画好きです。

でも、見ると言うか ほとんどがテレビやDVDなどで音を聞いて 楽しんでいます。今年、20何年ぶりかで三回ほど映画館に行って来ました。たまに映画館の雰囲気を楽しむのも良いですね…。

私の場合、画面に何かが映っているのはわかりますが、ぼやけてわからない感じですから、役者さんのセリフや効果音 BGMを味わってます。当然 見る映画は、いくつか限定されます。

外国映画は、吹き替えでないとダメ。
セリフが少ない映画も訳わからなくて ダメですね。
最近は邦画中心です。

3ヶ月前「僕の彼女はサイボーグ」「花より男子final」を見ました。 なかなか、面白かったです。一人で行ったのではなく友達と 行ったのです。 一緒に行ってくれた友に感謝です。

先月は、「デトロイト・メタル・シティ」を 一人で 見てきました。映画館のスタッフ方々のおかげで みれました。ありがたいです。

これからも 友達に頼るだけでなく 一人でも行く自信が付いたので行きますよ!映画館に 白い杖を持った男を見かけたら多分それは、僕でしょう。

確かに映画館に白い杖をもった方が来ていたら一瞬とまどいますね。はい。でもそのときは平塚さんのことを思い出します。

テレビやDVDで見る映画と、映画館で見る映画では違うんです。
それはその暗さであったり、雰囲気であったり、もちろんCMが間に挟まらない、ということであったり、一緒に見に行く人との共有される時間であったり、、、いろいろ理由があるのでしょうが、よく考えてみると実は、音、なんですな。音が違うと体験そのものが変わってくるのでしょう。そういう意味では平塚さんが映画館で、とおっしゃるのもよくわかる気がします。

最近Homacで水野さんセレクトシリーズの白黒映画が安く買えるようになってから、私は昔の映画はDVDで見ています。パソコンにセットしてイヤホンをつないで見るので、そういう意味では「音」は結構いけるのですよ。

ここでおすすめ!の紹介。あの有名はヴィヴィアンリーとロバートテイラーの「哀愁」。名前を知っていてもあえて見ることなく今までの人生来てしまいましたが、いや〜よかったですねえ。この映画を見る事なく、恋愛を語る事なかれ。ヴィヴィアンリーは美しすぎてその容姿だけで評価されがちですが、実はものすごい演技派であることがよくわかります。マーロンブランド、のところでも述べましたが、抑えて抑えて目でしゃべる演技です。

みなさんも気付いたことがあったら是非メールでコラム送って下さい。


2008年10月8日(水曜日)

大変!誰かが倒れたとき。

カテゴリー: - maruo @ 15時41分37秒

つい先日、旭川で開催されたBLSコースという、Basic Life Support=一時救命救急知識を体得するコースに出席しました。頭ではわかっていても、いざ、というときに体が動かないもの、また、最近はエビデンスに基づいた「救命方法」は年々変化してきており、膨大な論文をもとに、AHA=American Heart Associationというアメリカの大きな組織が「こうやってやりましょう」というガイドラインを世界共通で確立させ浸透させています。

なんでも、「世界数十カ国から300人の学者を集め25,000以上の論文をレビューして、ガイドラインを作っています。そして、そのガイドラインに基いた教育コースを作成し、世界各国のトレーニングサイトで同じことが教えられるように、コースの管理を厳しく行っております。」ということらしいですから。コースの中で見るDVDはどっかでみたような…そう…あのドラマER仕立てですから、もう気持ちも盛り上がります。

そういったわけで一度コースに出席すると証明書が発行されますが、これも2年という期限付きです。

大変!誰かが倒れたとき、あなたはどうしますか?その誰かを助けるのは、その場にいるあなたです。救急車が来るのは平均6分以上はかかりますし、ましてや病院にいるお医者さんが助けてくれるのはそれから何10分かかるかわかりません。

最近、公共施設でAEDはここ!みたいなマークをよくみかけるようになりましたね。図書館でも駅でも、こういうの気付きましたか?

少し前まではこのAEDは医療従事者でないと使えないことになっていましたが、2004年7月からは一般市民も使えるようになったのです。

私が出席したコースは日本口腔外科学会の学会が主催しているものですが、もちろん一般市民向けの半日コースもあって、

こちら

そのコースに出席したおばあちゃんが家で倒れたおじいちゃんをCPR=Cardiopulmonary resuscitation (心マ)しながら救急車にのって病院に運び助かったケースなどあるそうです。愛です。すごいですねえ。

このコースの面白いところは理論攻めではなく、何度も何度も繰り返して自分でやってみて、「体得」するところにあります。よく病院内でも勉強会でひとつの人形をもってきて、インストラクターがやってみせるデモのような方法がありますが、実際やってみてはじめてできるようになるのであって、見ただけではだめなんですよね…。だからコースでは二人組にインストラクターがついてもうマンツーマン。いろいろ教えてもらえます。それが大事。

そうそう、蒟蒻ゼリーの窒息事件で思い出しました。マンナンライフは蒟蒻ゼリーを製造中止にすることにしたらしいですが、そんな小さい子にゼリーをあげた親の注意不足とか、近くに救命方法を知っているひとがいなかったことも悔やまれます。

お年寄りや子供は特に窒息死が多いんです。
このBLSコースでは窒息した際の救命方法も教えてくれて
窒息しているこの人はチャーリー。

チャーリーをモデルにして何度もハイムリック法の練習をさせてくれます。

窒息した人の後ろにまわり、後ろからお腹(おへそ上、みぞおち下)を抱きかかえ、ひとつの手はこぶし、もうひとつはその手を包むようにして、気合と共にえいっとお腹を両腕で締めつつ、前で握った手をお腹から胸に向かって押し上げる。

このとき、私も勘違いしていたのですが、詰まったものを手で無理矢理取ろうとしたり指を突っ込んだりする必要は全然なくて、少しでも異物を移動させることが目的なんですって。それなら、できそうでしょ?

医療関係者向け、一般市民向け、そのどちらのコースも是非帯広で開催してもらえるように、希望者を募りたいなあと思っています。その前に興味のある方は、北海道各地でも、全国で年に何回も開催されていますので、是非チェックしてみてください。キーワード、BLS、で日本ACLS協会をみてみてください。


2008年9月25日(木曜日)

エイズの検査で陽性が…

カテゴリー: - maruo @ 20時18分20秒

…のお話です。

というのも、先日↓に書いた研修医時代の事件というのはですね、
実はエイズの検査で陽性が出てしまった、という患者さんのお話でなんです。
承諾をいただいたのでここでも仮に患者さん=水野さん、としておきますね。

もうかれこれ10年近く前になるのでしょうか。
そのとき研修医の私は某女子医大の分院で働いておりました。
そこに入院してきたのは水野さん、関節の手術が目的でした。

ちょうど、日本で初めてのエイズ患者の確認が1985年ということらしいですからそれから10年もたてば、誰彼もう隅々まで「エイズ」というアイデアが浸透していた頃です。それもちょうどうちの病院でも入院し手術が必要な患者さん全ての方にエイズの原因であるHIVというウイルス抗体をもっていないかどうかの血液検査を全員ルーチンで施行した方がいいのではないかと話が持ち上がったかと思ったらもう当然のことのように医局会で決行、間もない頃だと思います。

あの頃は、その危険なウイルスの出現は、人類全てを脅かすような響きをもった大きなニュースだったことも覚えていらっしゃるでしょうか。まるでHIV感染=エイズ=死の宣告のような。そしていつか気付かないうちに自分が感染するのではないかという大きな不安をかきたれられましたね。

どの病院でも、血液を介して感染するようなウイルスの検査はルーチンで施行されています。黒沢監督の古い映画でも梅毒の患者を治療した医師が針刺し事故をおこして自分自身が梅毒にかかってしまったストーリーなんかが描かれるわけですから。手術の途中にちょっと血液が目に入ってしまったり、看護師さんでもまちがって針をさしてしまったり、いや、ささくれをとった皮膚から感染してしまったり、なんてあるわけで、血液が飛べば患者さんから患者さんということもあり得るのでそういう危険があることを知り、対処する必要性を何度も厳重に教わって来ているのです。

症状のない梅毒の患者さんからは非常に感染しにくいですが、症状のないエイズの患者さんは感染者になりうるわけで、たしかにあの頃ルーチンでHIV抗体検査をしよう、ということにした病院側の取り決めは決して間違いではなかったかと思います。

ただ問題は…

水野さんの話にもどりましょう。水野さん、骨折のような緊急を要するような手術ではなかったので、準備をして前もってそういったルーチンの血液検査をして手術の望まれたわけです。そのルーチンの検査でHIV抗体が陽性と出て来てしまったのです。

その「+」とかかれた結果の紙が、まるでトップシークレットのように、担当医から教授までひっそりと手から手へ回ったものです。ルーチンで検査をする、と決めたのはいいものの、実は「+」という結果が出て来たときの対処マニュアルは全く出来ていない状態でした。検査センターより、「もう一度再検査を要する、結果が出るまで数週間かかる」という事務的な宣告の他には何もよりどころはありませんでした。

今でこそ、妊娠や膠原病をはじめとして擬陽性率がかなり高いことが知られているルーチン検査ですが、あの頃はもうそんなことさえも知りません。とりあえず、「疑わしきは罰す」勢いで、この恐ろしい忌まわしいウイルスを何とかその再検査の結果が「−」で問題ないと帰ってくるまでの間に誰一人にもうつることのないように「対策を」と教授にいいわたされ、途方にくれてしまったわけです。

やはり結果をまずご本人にお話しないと急な対応の変化に水野さんも不審に思われるだろうし、なんて相談がおこなわれて、水野さんを呼んで結果宣告がなされたのでした。

今となってはどういう内容でその宣告がすすんだのかあまり覚えていません。ただ、水野さんがお仕事の都合で「外国暮らし」をしていたとおっしゃられたときに子供ですから(?)「外国!=エイズはあり得る」と思ったことはとてもよく覚えているのです。いまでこそ私にとっての外国は以前のような外国のイメージではないのですが、その頃はねえ…いや、教養ないにも甚だしいです。もちろん、水野さんが感染しているのであれば、夫、子の検査も必要になってきてしまうわけで、家族をまきこんでもうそれはショックだったに違いありません。

水野さんの手術後の血液についた包帯はすべて他の患者さんとは全く別に扱われなければいけません。包交車というあの消毒やらピンセットやらがのったカートは水野さん専用に作られました。包帯交換も、手袋をはめて、などなど、いやはや、対処マニュアルがありませんからもう感染者に準ずる扱い=感染者扱いです。

医療従事者の中にHIV感染に対してかなりの偏見があったのではないかと思います。ネット上でもこんな風に。

さすがに日本ですからあからさまに「嫌な顔」をするスタッフはいなかったと思いますが、「嫌な顔」以前に誰しもが「困った顔」になっていたのでした。

今では治療法も確立されつつあり、HIVに感染してもエイズで死亡するということは防げる時代になってきました。皮膚と皮膚の接触や血液が皮膚についたりするだけでは感染しないこともわかってきましたし、何より、エイズそのものへの偏見が減ってきた、そしてその言葉をきいただけで後ろめたさから眉をひそめたくなるような嫌悪感は薄れて来たように思います。感染者が多いアフリカでもエイズについてもっとオープンにはなせるようになってきたような気がします。

知らない=恐ろしい、ことです。エイズだって知らないから恐ろしいのです。アフリカで働くNGOのボランティアは、まずエイズの治療は教育だと言っていました。そうなんでしょう。あの時にはどれだけその無知な医療者=私が水野さんを苦しめたかと思うとほんとに申し訳なかったと思うのです。

数週間の間、ただ祈るような気持ちで結果を待っていた水野さん、ほんとにどれだけつらかったでしょうか。生きた心地がしなかったでしょう。再検査の結果が出るしばらく前に一度退院になっていました。

病院では結果が帰って来たその日の夕方、ちょうど医局会があり、そこで当たり前のように今度は「陰性」と書かれた紙はあっけなく手から手へ目から目を通り伝わり「明日患者さんに伝えましょう」と言って終わったのでした。

その翌日、外来にいらっしゃった水野さんに「陰性でした」と伝えたとき、「昨日お電話がなかったからやはり陽性だったんだとあきらめて来たんです」
と水野さんに言われたときにはもう、目が覚めましたね。悔やまれてなりませんでしたね。せっかくの嬉しいニュースなのに、なぜ、昨日、陰性の結果が出たときに、一刻でも早く、待っていた、夜も眠れない水野さんに一言電話をしなかったのだろうと。そのくせ、悪いニュースのほうだけ、まだ確信のないデーターをさっさと話してしまったのだろうと。「できれば再検査の結果がもどってくるまで知らない方が良かった」という水野さんの言葉、その通りだと思いました。

そんな右往左往の時代はもう終わりましたね。HIV感染者の治療にはきちんとマニュアルが出来ています。知らない=恐ろしい世界から、知っているから治療ができる段階へ、来ています。

ここでまたあらためて。コンドームの着用がエイズを防ぎます。
みなさんにももう一度、確認してもらいたいから。

そして、「なんとなく」「とりあえず」のルーチンワークを見直して、
何よりもそんな失敗を通して成長させて頂いています。ほんとにごめんなさい。そして、そうやって私達を育ててくれる患者さんがいることにほんとうに感謝しています。


2008年9月17日(水曜日)

医学と迷信

カテゴリー: - maruo @ 18時04分38秒

つい最近、私が研修医だった頃に出会った患者さんからメールを頂きました。
その患者さん、仮名水野さん、としましょう、よく私の名前を覚えていてくれましたね!変わった名前を持っているということは結構得だったりするのです、えっへん。

というか、水野さんが私のことを覚えていてくださったのは、別に私が素晴らしい研修医だったからでも何でもなくて(むしろ右往左往研修医ですな)ある事件が起こったからだったのでした。今になってみると一件落着、でもその当時は大変だったのです。その事件については水野さんの了解が得られたら今度書く事にしましょう。

それで、水野さん、私のブログ(タイプAの性格とか)をみてこんなコメントを下さいました。


友人で15年、某がんセンターで勤務した看護師曰く。
癌種により驚くほど性格が似通っている。男性の場合。
前立腺がんは生活レベルが高く粘着気質。
胃がんは自分の事なのに人任せ。
退院後の食事指導に関しては、妻に話しておいてくれれば良いと言う。
大腸がんは気の良いおっちゃんタイプ。
咽頭、喉頭癌系は喫煙歴と生活レベルの低い方。
 
 唯、あくまでこれはお茶のみ話であり、
医学的根拠に基づいはものではありません。

そうそう、このブログコメントが全然入らなかったりするそうです。コメント入らなかった方ほんとにごめんなさい。

後で水野さん、追記をしてくださってですね、水野さんの友人看護師さんがそう言うのには裏があって例えば、前立腺がんには生活レベルが高い人がなりやすい、と言われるのには多分、美食家で高学歴(ホルモンの原材料、コレステロールの高い食事)などが関係しているかもしれない、
口腔、咽頭癌系に生活レベルが低い人ばなりやすいというのには口腔衛生がきちんとできない環境、例えば、喫煙、飲酒、生活習慣の歯磨き、生野菜、果物の少ない食事などが関係しているかもしれない、ということなんだと思います、ということでした。

そして、水野さんご自身も看護師さんなので

癌の早期発見で検診を定期的に受ける人が増えると良いと思います。

とおっしゃっていました。

水野さんのコメントを読んでいて、そういえば私の母(やはり看護師)が
「年をとっても髪の毛がふさふさで黒いひとは癌になりやすい」と言っていたことを思い出しました。

えー。

こういう医療関係者のけっこう根拠のあるようなないような「迷信」(?)のような言い伝えのようなもの、面白いですよね。まず水野さんが教えてくれた

前立腺がんは生活レベルが高く粘着気質

についてですが軽く検索してみると
http://www.menslabo.com/archives/2005/09/post_285.html

●前立腺癌になりやすい人の条件
 ・血液型がA型の人
 ・肝硬変の患者
 ・既婚者
 ・多くの子供のいる人
 ・性交渉相手の多い人
 ・性病にかかったことのある人
 ・脂肪、蛋白質、炭水化物を多量摂取する人
 ・教育レベルが低い人
 ・社会的、経済的レベルが低い人
 ・ビタミン摂取量が少ない人
 ・性生活における欲求不満を持つ人
 食生活と性生活が主に前立腺癌発生に関与していると考えられます。

と書いてありました。
そうすると、生活レベル、というのが高い/低いで癌になりやすいとかってなかなか一概にはいえないということになりますね、やはりどこまで根拠があってどこまでないのか、まだまだわからないことがたくさんあるのですね。

患者さんの性格を分けて、タイプAには心臓病が多いと言われていると書きましたが、実は、タイプCはCancerのCでもあって癌になりやすい性格なんだそうで、それは

http://precious.hida-ch.com/e31049.htmlより

真面目で几帳面、忍耐強くて感情を抑制する…いわゆる傍目からは「いい人」。医学的に見ると、自分を抑えてしまう性格は、ストレスをため込みやすく、結果的に免疫力が低下します、つまり癌になりやすい、という仮説があるそうです。

タイプCのチェックリスト

- 人にものを頼むのが苦手だ。
- 人前では感情を抑えてしまう方だ。
- どうせ自分は」と思うことが多い
- 規則や計画に沿って、完全にやり通す方だ。
- 人にどう思われているか、とても気になる。
- 頼まれたら断れない。
- 飲み会では、もっぱら聞き役だ。
- 使った物は、必ず元の場所に戻す。
- 自分の意見や要求を、主張するのが苦手だ。
- 待ち合わせ5分前には必ず到着。相手を1時間以上待てる。待たされても怒らない。

なのだそうです。ふうん。私は大丈夫だわ(笑)。

“わがままな”頭頚部癌患者は予後が良い?−エゴグラムの性格分析から
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/166704.html

という記事にもあるように、いい人タイプのよりもワガママなほうが癌にはなりにくそうですね…。これは迷信の域を超えてちゃんと調べた結果ですから、案外あっているのかもしれません。そして喉頭がんがタバコ喫煙歴と関係していることもちゃんと統計学上示されていることですし。

でももっと迷信くさいことを本気で調べているひとも結構いて

2006年1月13日金曜日、満月近し――迷信と現代医学の不思議な関係
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/419513.html

13日の金曜日には交通事故が多いだとか、月曜日の心筋梗塞患者が多いとかちゃんと証明しようとしているひともいるんですね。

そうそう、開西病院では入院施設のベッドのあるお部屋ですが、お部屋番号からすべての4と9が抜けています。だから2階は201号、202号、203号、と順番に左から並んでいると思ったら次は205号なんですよ。なんだかすごくわかりづらくて、そんな縁起担ぎはいまどきどうか、と思っちゃうんですけど。だって4月生まれの私とかどうなるんですか?いや、患者番号が49494の人だっているわけですしねー。

最後に迷信ではないですが、「あるある!」と言いたくなってしまいそうな
根拠のあるようでないような医療版マーフィーの法則。
http://ha7.seikyou.ne.jp/home/ken-1/nohara/maf2.htm

・大きい病院では待ち時間3時間、診察時間3分である。
(遊園地のジェットコースターと同じである。)

・大きい病院ほど、Drは若僧である。
(補足:経験豊かなDrは独立している。)

・慢性病にいちばん効果があるのは、生活習慣の改善であるが
 生活習慣が乱れているの人たちの意見は生活習慣が悪くても、治るようにしてほしい。しかしどのDrも、慢性病の患者に「規則正しい生活と、適度な運動を」求める。

そのとおり、です。いや、すみません。


2008年9月9日(火曜日)

ハイテク

カテゴリー: - maruo @ 18時54分10秒

今日たまたま札幌の他病院から転入院してきた患者さん
紹介状に添えられて来たのは一枚のCD…

CDには何十枚かレントゲンなどの画像が入っていたのですが、あんまりにもそのCDもきれいだったし、中の画像もウエブ経由の美しいレイアウトだったので
スタッフ一同
「はーハイテクですな」
と感心しました

イメージ

当院でもようやく、フィルムレスの準備がはじまっています。

撮ったレントゲンはフィルムに現像せずに
デジタルですべて処理しようとするもの。

これは国もフィルムレス、ペーパーレスのデーター保管を推進していていますから、加速的にどこの病院でもシステムが変わって行くものと思います。

データー処理能力もどんどんよくなっているしね
大手出版社の老舗雑誌もウエブに押されて売り上げが落ち廃刊になっているようだし新聞だってネットに脅かされて来ています
そういう私も、全然新聞をみなくなってからだいぶ経つんですが。

新聞派のひとは新聞がなくなると
「ゆっくり新聞を読む習慣。インクの匂い。隅から隅まで広告も死亡欄(?)もながめるその楽しみ」がなくなる寂しさがあるようですが
整形外科医としてもフィルムがなくなると
「シャウカステンに並べてチェックする順番、フィルムにクレヨン鉛筆で丸をつけながら説明する習慣、自分の手術した術後のレントゲンを廊下を歩きながら蛍光灯にすかしてながめる楽しみ」
なんかが消えてしまう寂しさがあるんですよね…

それでも便利な時代がやってきました。
みなさんも、もし、レントゲンや検査をしてもらったら、前よりも気軽に
「データーのコピーを下さい」
ともらっておく習慣をつけられたらいいと思います。
病院が焼けてしまったら、いや、コンピューターのバックアップがうまくいかなかったら大事な自分のデーターが一瞬にしてなくなってしまうかもしれないですしね。

そうそう、今まで現像していたものすごい量の当院の患者さんのレントゲンですが、これから国の法令にしたがってきちんと保管しておかなければいけないもの以外は処分するか倉庫行きになるんですね。その作業も大変なものらしいです。

私が「処分するなら患者さんに自分のものなら差し上げればいいのに!」って提案したらちょっとたしなめられました(笑)。いつも変なことばかり言ってすみません。


2008年8月29日(金曜日)

サルでもわかるストレス解消法

カテゴリー: - maruo @ 17時07分28秒

最近の音声学習のはまりは
http://www.medpod101.com/index.html
というポッドキャストです。

そこでサル(詳しく言えばヒヒ)から学んだストレスの解消法をきいたので紹介します。

スタンフォード大学生理学者のSapolskyは何十年もケニヤでヒヒの観察をしていました。よく観察してみるとヒヒ社会というのは人間社会と似ているのだそうです。ヒヒにはあまり天敵もいないし、流行病や食料不足に陥ることもまれなので、そういう意味では人間社会と似ているし、ヒヒの社会には人間社会と似たようなストレスというものが存在するようなのです。

彼の研究によるとヒヒの中にも「タイプA」がいて、ストレスにうまく対応できずに強いストレス反応を示すものがいるそうですよ。

注)タイプA:心臓病の外来で待合室のいすの前の部分が他の科より異常に早くすり切れるのを見付けた医師(1950年後半)が、待合室の様子を観察すると、心臓病患者はわずかな時間を待つことにもイライラした様子で、すぐに立ち上がれるように浅く腰掛けている人が多く、いすのすり切れはそのためであることが分かった。これが、タイプA行動パターン。この性格は、同じような職場環境にいても、外の人に比べて強いストレス反応を起こしやすい。

Sapolskyは「人間社会というのは他の動物に比べて特権階級にあるようなもので、そのために社会的、肉体的なストレスがあるのだ。ヒヒもある意味、他の動物よりも特別な環境にある生き物なので、その複雑さゆえにストレスが出来上がってしまった」といいます。

ヒヒの採血をして、ストレスホルモン値やコレステロール値を調べてみると、ストレスホルモン値が高いヒヒは同時にコレステロール値も高く、高血圧や動脈硬化も見られたというのです。

特に雄ヒヒ。

- 何か問題が起きて決闘がはじまってしまった時よりも、その前や直前のそれを心配しているときのストレスレベルが非常に高かった。

- 長く同じメンバーのヒエラルキーが続いている安定期ではストレスレベルはひくく、新しいメンバーが加わるとストレスレベルは突然上昇した。

- 雌ヒヒと毛繕いをされたりしている時間や、子ヒヒと遊んでいる時間のストレスレベルは最も低い結果になった。

- ストレスレベルの以上高値が続くと、学習や記憶を司る後頭葉の脳細胞にダメージを与えることもわかった。

- 中程度の時折のストレスは逆に脳細胞を活性化することもわかった。

そうやって観察していると中にはストレスをうまく発散できるヒヒがいることもわかったのだそうで。

その戦略とはー

まず、準備すること。

ランダムな電気刺激を与えると、いつまでたっても電気刺激=ストレスになるが、「ランプが消えたら電気刺激が来る」というような心の準備の時間を作るとストレスレベルがあがらないそうです。

適度なストレスは必要。

四六時中いつでもリラックス、というのがいいわけではありません

行動する。

悩んでばかりいないで…
運動でもいいのです

そして、友達と過ごす時間をもつこと。

孤立したヒヒはいつまでたってもストレスレベルが下がらない。

のだそうです。

失恋したら友と飲みにいく、というパターンは実は大事なのであって
それをひとりで何とか握りつぶそうと必死になればなるほど辛くなるのかもしれませんね。

最近の「キレる」という行動だって、経験の浅さ、沈黙、行動よりも頭、そして孤立、という結果のストレスレベルの上昇しやすさによるものなのかなあと考えたりしています。

今日は金曜日。みなさま、おつかれさまでした、よい週末をお過ごしください。


2008年8月26日(火曜日)

山口先生、沖縄に帰る。

カテゴリー: - maruo @ 18時07分22秒

独身で開西病院に勤め始めて
帰るときにはご結婚、ベイビー誕生、パパになって沖縄に帰る事になった
山口浩先生。

2年間、開西病院でいろいろご尽力頂きました。

患者さんにもパラメディカルにも超人気者で
外来で
「今度沖縄に帰る事になりまして…」
と山口先生が患者さんに説明する声がすると思ったら
悲鳴が聴こえてくるようなここ1週間でした。

先生のこと「楽しい先生」と表現する患者さんが多かったですよ。

昨日は送別会だったので、山口先生の写真。

私個人的な山口先生の思い出は
山口先生が
「山口さんちのツトムクン…」
の歌が流行ったときにいじめられたという話とか
「イケイケ川口浩」
のときも微妙だったとか
お兄さんはケンさんなので山口県になってしまって大変だったりとか
そんなくだらないことでいつも笑っていたことですな。

そうそう、ある朝、カンファレンスにちょっと遅れます、と山口先生から電話が入り、どうも体の具合が悪いらしい…と聞いたのです。
外来のはじまるちょっと前にやってきた山口先生を見たときも衝撃でした。

もう、今にも倒れそうなふらふらした姿で、何よりも3日間は何も飲み食いしなかったのではないかと思えるようなシワシワにしぼんだ小さくなって乾燥した姿でしたから。原因はひどくて止まらない下痢だったようでしたが
脱水というのはこんなにも目に見える物だと感心するほど。途中でコンビニのトイレを借りながら、よくがんばっていらっしゃいましたよね!ガッツありましたね。500mlのラクテックが終わる頃には最初の2倍くらい大きくなっていたのにも感心しましたよ(若いんですな)。

(こんな内容のはなむけになってしまってすみません。)

北海道と沖縄ってお互いLOVEの関係にあると思うので
是非お互い交流を途絶えさせずに、またお会いしましょう。
沖縄でのさらなるご活躍をお祈りいたします。
GOOD LUCK!


2008年8月15日(金曜日)

悲しい知らせ

カテゴリー: - maruo @ 14時27分52秒

昨夜夕ご飯を食べていたら電話がなりました。
うちの電話を知っているひとは数少ないはず。
勧誘などのいたずら電話が多かったので無理矢理電話番号を変えたばっかりだったので、何となく嫌な予感というのはあるのですね。

イギリスの義母からでした。
「タズが死んでしまって…」

タズというのは義母が長い間飼っていたビアデットコリー犬です。

「え。」
「もう13歳だったから」

突然だったのでびっくりしました。

最近タズの足に腫瘍(lump)ができ、放っておけばいいのに、
「大きくなってきたから」と獣医さんのところで麻酔をかけて摘出術を受けさせたってきいてたんです。その傷が開いてしまって、どうしても汚いところにこすりつけたりして少し化膿もしていたのでしょう。その腫瘍自体は悪い物ではなかったということもきいていました。

開いてしまった傷はまた縫い直してもらうから、っていってたのです。

やっぱり2度目に縫い直しをしてもまた傷が治らず、今回は3回目。病院に連れて行って入院させて麻酔をかけて、ということでした。

傷の処置をして、麻酔から目がさめたタズはお水も一滴ものまないし、一口もご飯も食べようとしなかったのだそうです。獣医さんは、入院しているからそのストレスや環境の変化で食べないのに違いがない、と義母を呼んでタズを退院させました。

その後、家に帰って来ても義母の必死の試みにも反応せず
やはりご飯を食べようとせず
だんだん弱っていくタズを抱えたままの義母の腕の中で動かなくなったと。

いやー私も身につまされましたね。
私の患者さん達。

足の骨折で手術。そこまでは何とか85歳でも90歳でもいや95歳でもがんばってくれるのです。

問題なのは傷が化膿した、とか、骨折がうまく治らないでもう一度手術、ということになった時なのです。2回目の手術。そのストレスの大きさ、ダメージの大きさは頭では分かるんだけど、こうやってあんなに元気だったタズが2日間であっと言う間に死んでしまうみたいに、ほんとにほんとにストレスなんだなあと思いますね。

高下先生が、「うちの田舎ではお年寄りがご飯を食べなくなったら、それはお迎えが来るっていうことだってみんな言ってたよ」って教えてくれました。

ごはんを食べなかったタズはお迎えを知っていたのですね。

タズにもう会えないのかと思うとさみしい。そして一人残された義母がタズと共に心が逝ってしまわないように、心配しているのです。


2008年8月8日(金曜日)

大野病院事件

カテゴリー: - maruo @ 18時41分33秒

大野病院事件というのは…

数年前に福島県で帝王切開手術を受けた女性が死亡して、
その担当医だった加藤先生というお医者さんが「医療ミス。加藤先生に患者が死んだ責任がある」として逮捕された事件です

ご参照
この先生も

このブログでは時事ネタにはあまり言及しないようにしていたのですけど。

患者さんの遺族は医師を絶対に許さないというし
加藤先生は医療ミスはなかったというし
そこで裁判になっているのですが
この事件のせいで全国から救急をみる産婦人科医が減ったと言われています

来る8月20日に判決が下される事になったようです

この事件。
(同業者だからかもしれないけど)
加藤先生を犯罪者とするのは間違いではないかと思うのです

だって犯罪じゃないもん。
通りすがりに道で誰かを切りつけたり
居眠り運転をして誰かをひき殺したり
そんな人たちと一緒ですか?

もし加藤先生がその患者さんが具合がすごく悪いのに放っておいたのなら
できることがあったのに何もしなかったのなら
それは医師としての仕事としてのミスって言ってもいいけれど

先生は汗だくになって必死になって一生懸命助けようと苦しんでたのに、ですよ。

胎盤癒着という特殊な状況下で必死に出血を止めようとしてもとまらなくて出血死してしまった患者さんのことを悔やんでいるのは
遺族だけでなく治療していた加藤先生も、なんですよ。
なのに遺族は「土下座して謝らないから」「訴える」と言うの?

最近、医療ミスだとしたら、許せません。教えてください。という質問をネットでたまたまみかけました

施設で入所中のお年寄りが転んで骨折しました
病院で転んで骨折しました
ということはよくあることです。

そうなるとわらわらいろいろ大変で、骨折は手術になることも多いのですが

家族は

「施設長/病院長/担当医からひとことも謝罪がない」

とクレームをつけるのですね。

そうか、そんな風に考えるひとが増えているのですね。

謝罪を要求するのは
相手が故意の場合に限って、じゃないのかなあ

もし予測できなかった「不慮の事故」だったのなら
どこかお互いに「申し訳ない」気持ちをシェアできるよう
話し合うところまでが妥当だと思うんですよね
だって辛い/大変/心配/ストレスなのはお互い様だから。


2008年7月31日(木曜日)

北京にて

カテゴリー: - maruo @ 13時14分27秒

夏休みを頂いて北京に旅行してきました。
「どうでしたー?」ときかれるといっぱい言いたい事があって
せっかくなので写真のせておきますね
いやーほんとにこの病院のブログ私物化ですね(すみません)

北京空港。新しくなって美しー。
お金かかってますねえ

日本やイギリスのような島国とちがって
北京というところはどこか大きなところの中心なんだ
ということが体で感じられるのです。

おおきな大陸がどこまでも続いているから
その土地の使い方が贅沢!

公園も広々してるし木々も成熟して背が高いし、
ハスの咲き方もスケールがでっかいです。

中心にあるホテルに泊まりましたがその前のみち
ごった返して電信柱とか電線とかで写真をとると狭い感じがどうしてもでてしまう東京とかと違うでしょ。

昔からの北京の四合院造りは建物は壁で囲まれています。
これはホテルの窓からとったもの。
壁は灰色でそれがまた中国の赤とよく合うのですよ。

帯広に慣れてくると、この街にはあまり中心部というものがなくて、
車で走っていても人の存在というものをあまり感じない(人が道を歩いていない)のですが、
北京はストリートライフに溢れてましてね。
そういう意味ではフォトジェニックなんですね。

エアコンがないから、日が沈んでからみなさん外で涼むのです。
湖の周りではまるで原宿と巣鴨が一緒になったみたいに
老若男女いっしょくたで踊っていました。
こういう生活、悪くない?
なんか生き生きしてるんですね。

ガイドブックに森永さん、というひとが書いた北京という赤い本を持って行ったのですが、とてもいい本で、
紹介してあったところにぜーんぶ行ってみたくなってその本を片手にタクシーを乗り継いで観光しました。

森永さんが、temple of heaven (天壇公園)で「地書」をする人がいる、って書いてたんです。
地書というのは地面で墨ではなくて水でする習字です。
その様を是非みたいと思ってたのですが、たまたま、ベイハイ(北海公園)にいったらねいましたよ。達人が。

よくみる高架の壁のグラフィティとちがって、なんと優雅ないたずらでしょう。
なんていったって水ですからしばらく経つと消えてしまうんですね。
「形あるものすべて消え行く運命にある」

あんまり喜んで何枚も写真を撮っていたら
私の名前を書いてくれるっていうんで
もう嬉しくてお願いしちゃいました

じゃーん。

字がうまい、というのは日本でも多かれ少なかれ尊敬されるものですが
中国ではもっとそうなんですね。
だからホテルの名前とか店の名前とか誰かによって書かれたその筆跡をそのまま看板に使うところが多いのです。
政治家になるためにはやはり字がうまくないとダメみたい。
筆跡って人柄も表すでしょ。
私は字がヘタレなのでその気持ちよく分かります。

例えば泊まったホテルの名前もきっとチベットの偉い人が書いた筆跡そのまま看板やロゴとして使っていました。

最後に食べたものの羅列。
実はものすごく無国籍。
東京って全然人種のるつぼにはほど遠いんです。
北京はすでにインターナショナルでこれから人種のるつぼになっていく、そしていつかは世界の中心となっていくのかもしれない雰囲気でした。


2008年7月30日(水曜日)

眠れない

カテゴリー: - maruo @ 18時31分41秒

今日通勤途中に睡眠障害sleeping disorderの話を聞きながら出勤してきました。

ふうん。睡眠時無呼吸症候群という状態は本人が気付かないうちに
特に太め男性、はなっていることが多いらしい。
そういう人は気付かないうちに頭痛が頻繁いおこったり集中できなかったりするんだそうですね。

ふうん。眠れないというのは現代病でもあり、携帯がメールのお知らせしたり、ゲームが面白すぎたり、夜通しエキサイティングなテレビ番組をやっていたり車の音が絶える事がなかったりでどんどん増えているんだね。

そんなこんなでお昼、東3病棟にいたら
まだ新米ナースの松さん(仮名)が
「先生。あのー」
と私のところにおそるおそるやってきてとっても申し訳なさそうに
「私、眠れないんです。昨日も30分くらいしか」
と。

まー。まさにタイムリーな話題。

その今朝きいたばかりの知識を総動員して
「眠る準備が必要なのよ。テレビは寝室に置いちゃダメ。寝る前は1時間前からお風呂にはいったり本を読んだりリラックスさせて、これから眠るんだっということを体に教えてあげることが必要。携帯も友達に電話して夜9時以降は電話しないようにお願いすること。リズムを作ってね…etc etc」とお話しました。

でも実際、ナースなお仕事だと夜勤と日勤がばらばらにあってそのへんのリズムはすごくとりにくい生活ですよね。しかも新米さんだから余計にストレスも多いだろうし。お部屋もワンルームなので寝室とテレビを置くリビングルームを分けて、なんてことはできませんて。

睡眠薬を処方しましたが、これで松さんの安眠が確保されるとも思えず。

大変なお仕事だけど、だんだんリズムをつかんで、慣れて行ってくれたらいいなあ。


2008年7月25日(金曜日)

親切

カテゴリー: - maruo @ 18時37分06秒

視覚障害をもった平塚裕さん(仮名)からメールを頂きました。
タイトルは「親切」

人には親切にするものだと良く言う。それは良い事だと思いますが、親切も度が過ぎるとやっかいな代物に なってしまう。

今の人たちは、「様子を伺う」と言う事をしない人が多いようだ。
私自身、そんな親切ばかりに出くわすのである。

私は、視覚障害者です。障害者には親切にしようと言う物があるのでしょうか? 無理をしてるように 私は感じるのである。 この前、夜、コンビニへ行った時、 白い杖を持っていたからなのだが、コンビニの玄関先で私は、玄関の横に白い杖を置こうとしていたのです。すると、ある人が私の腕をつかみ 「入り口は、こっちです」と力説するのである。 まったく、私の意志など 無視なのだ。その人をなんとか振り払い中に入ると、その知らない老紳士もどきが、さらに私の腕をつかみ 「困ってる事は無いですか?お手伝いしますよ」と。 そう言われてもねー? かなり 引いてしまいました。

やはり 近場に障害者がいないからなのか? だからみょうな親切の押し売りになるのかな? 知らなすぎると言うのが現状なのですね。

もっと、私たちを知って貰いたいです。「親切にする」とは、相手の意志を認める事から始まる事だと私は思うのです。

はい。私自身を含めておっしゃられるように障害者の方への対応を知らなさすぎるということはあると思います。だいたい目が見えない、ということを想像するのは難しいことですし、周りに目の見えない友達もいませんし。

こういった親切の押し売りのようなものは日本の教育なのかもしれません。儒教の教え、いや、平たくいえば道徳の教科書のように、機械的、もしくは形式的になりがちではないでしょうか?人には親切にするものだ、と道徳の教科書に書いてあります。困った人には手を差し伸べましょうと。それがに逆に迷惑になるなんてことこれっぽっちも思わずに。だってそういう形式がよいとされているのですからね。

私も「人の気持ちにたって考えなさい」「物事は先取りして」「気をきかせなさい」と教わって育ったせいで、今でも夫に聞かずにコーヒーを持って行ったりして怒られるんです。「頼んでないよ」「ひとこと聞いてよね」。私にしてみれば親切(または気をきかせた)。夫にしてみれば頼んでない(または迷惑)。このすれ違いがぎくしゃくした社会を作ってしまうのでしょう。

平塚さんが書いておられるように、相手の意志を認める事。形式にとらわれているとなかなかできそうでできません。

こういう話になると、今度は話が反対になって、それなら周りは全て無視。他人のこと我関せず。みょうな親切の押し売りと言われるのなら親切など最初からしなければいいじゃないか、となりがちです。今度は「今の人たちは困っているときに誰も手伝ってくれなかった」という悲しい話がきかれるわけです。

じゃあ儒教の教えの他の価値観というものがあるのかどうか、ちょっと調べてみると老荘(ラオジョアン)派というものがあって、こちらのほうは自由性と創造性に重きを置く考え方なんだそうです。形式にこだわらず、機械的にならず、もう少し柔軟性のある、いい意味での無規律的放蕩性。欲しいまま、きままでいいのです。そのとき、そのひとが必要とするのならば、相手の好きなように、そして自分の好きなようにひととつきあえればいいのかもしれません。


2008年7月22日(火曜日)

佐藤先生 - 駆け出しのころの話

カテゴリー: - maruo @ 13時38分43秒

6月から内科に佐藤篤司先生が新しく就職されまして
もうみんなで喜んでいます。めでたい。早速私は佐藤先生に有無を言わさずに(!)エッセーを書いて頂いた訳です。

こんな経験したくてもできないですよね。今でもその当時に働いていた仲間と飲めるなんて素敵ですねー。ではとかちばれに先駆けてみなさんにも公開しますのでどうぞお楽しみください。

駆け出しのころの話

内科医師 佐藤篤司

6月16日より開西病院に入職して仕事を始めさせていただき、まだ右も左もよくわからないうちに圓尾先生よりこの原稿執筆を仰せつかり、正直言って何を書いたものやらと悩みましたが、この機会に初心に戻る意味合いもあり、私の医師になる前後のお話をさせていただくことにいたしました。

私は平成2年に大学を卒業し、その後は東京都杉並区阿佐ヶ谷というところにある河北総合病院という病院で2年間の内科研修をいたしました。この病院との出会いはまったく偶然で、たまたまこの病院の評判を聞いた大学の友人の誘いで、卒業の前の年の夏休みにこの病院で1週間の予定で病院実習に行ったのでした。せっかく東京へ行く機会だからと思って私はこの病院の他に三井記念病院などで実習する予定をたてて、まずは三井記念病院で一週間の実習を済ませた後に河北病院へのぞみました。

実はこの三井記念病院の実習中からなんとなく倦怠感と下腹の違和感を自覚していたのですが、なんとなく大丈夫だろうと思って様子をみていたところ、河北病院実習の前日から38度の発熱を来たしました。しかし翌日には平熱に下がったので予定通り河北病院で実習を始めましたが、実習中からだんだんと右下腹部の違和感が強くなってきました。それで私の実習のお世話をしてくださった先生と昼ごはんを食べているときに、具合がどうもよろしくないお話をしました。するとその先生は私を医局のソファに寝かせて腹部の触診を始めたのですね。「佐藤君、これは虫垂炎だよ。」そう言われた私は「寝耳に水」という状況でした。

私の腹部所見が虫垂炎に典型的だったようで、いろいろな医師が私の許へ現われてはお腹を触られました。結局緊急手術ということになり、実習初日の午後に手術を受けることになりました。腰椎麻酔での手術ということで私の意識があるせいと私が医学部生ということもあり、手術中に執刀医師からいろいろ医学の質問をされ、それに答えられないと「おまえ、それで医者になれると思ってるのか?」などと怒られ、なんだか手術を受けながら責め苦にあっているようでした。そのうち、どうも術部に痛みを感ずるようになったため麻酔の先生に訴えたところ「腹膜炎までいっちゃってるみたいだね。普通そこまでいったら全麻でやるよ。」などと言われたもので、私は麻酔の先生にお願いして全身麻酔をかけてもらったのでした。

気がつくと、私は薄暗い病室に寝かせられており、手術は無事終わったようでした。ただし腹膜炎は完治しておらず、それから2週間以上絶飲食で抗生剤を含めた点滴のみで過ごすことを強いられ、1週間以上高熱に苦しみました。毎日回診に現われる外科の先生方にドレナージを通して腹腔内洗浄をしていただき、術後2週目くらいでようやく熱も落ち着いてきて、歩行もできるようになりました。

点滴が途中から高カロリー輸液に切り替えられたという経緯もありましたが、3週目くらいからようやく食事もとれるようになり、体調も復調してきたので、入院4週目くらいから病院にお願いして病院実習を再開してもらいました。自分が入院しながらの実習だったので、夜は入院患者として病棟ベットで眠り、朝9時を過ぎると寝間着を白衣に着替えて病棟で研修をするなんてことを2週間くらい続けました。まさに医師と患者を同時体験するという貴重な実習だったと私は今になって自負しています。この実習の間に河北病院のアクティビティの高さ、指導医師の層の厚さには感ずるものもあり、もしかしてこの病院で卒後の研修をするかもしれないという思いを半分いだきながら私は40日あまりの入院生活を終えたのでした。

退院して改めて大学卒業後の研修先病院を検討したところ、私は有名どころの三井記念病院で内科研修をしたく思い、そのための試験(筆記および面接)を受けました。しかしそんなミーハー気分の私を超一流の病院が受け入れてくれるわけもなく、当然のように落とされました。当時の私は、他の友人達のように大学医局にすぐ入るつもりはなかったので、さああとはどうしたものかと漠然と考えながら過ごしていたところ、河北病院の研修時に私のお世話をしてくださった先生から電話があり、もう締め切りが近いからもし河北病院での研修を希望しているんだったら書類を郵送しなさい、と連絡してくれました。そこの病院は小論文2編を提出するだけだったので、大学の講義を1日休んでそれを書き上げ、どうなることやらという気持ちでポストに投函いたしました。今から思えば、実習に来た初日に腹膜炎を併発した虫垂炎で入院した医学部生ということで、病院に強烈な印象を与えていたせいか、この病院の内科研修医として採用してもらえることになり、翌年5月からこの病院で内科研修を始めた次第です。

正直言って、河北病院に選ばれてよかったと今になって思います。当時のこの病院の内科研修医は内科疾患は循環器・消化器・呼吸器などという区別なくいろいろな分野の疾患を同時に受け持たなければならず、毎日遅くまで各疾患について勉強しながら仕事をしました。日々いろいろなカンファランスもあってその中で自分が受け持った症例についていろいろな角度で指導医の先生方から示唆を受ける機会もあり、とても勉強になりました。病理解剖もしょっちゅう行われていたため、特に研修医1年目のときは昼間だろうと夜中だろうと呼び出されて解剖のお手伝いをいたしました。正月の深夜に呼び出されて解剖のお手伝いをしたこともいまだに覚えています。当時の病棟の方々は、私にとって医師も看護師も仲間のように思え、今では私が上京する機会があると、当時の病棟スタッフを集めて同窓会めいたことをしています。当時主任だった看護師は病院のナーシングディレクター(総師長)になり、当時3年目だった看護師は病棟師長になっているのが自分でも信じられませんが、思えばあれから20年近くたっているのだから無理もありません。

河北病院での2年間の内科研修を終わった後に北海道へ戻り、その後やっと他の医師のように大学医局に入ってその関係でいろいろな病院を回ることになり、その後紆余曲折を経て今に至っていますが、私は自分の医師としての根っこはいまだに杉並区阿佐ヶ谷にある当時のこきたない病院(今は改築してきれいになりましたが。)にあり、自分はそこで研修して初めて医者になれたという思いをいまだに持っています。腹膜炎までいたったせいもあり、私の右下腹部にある虫垂炎の手術のあとは、あの手塚治虫の漫画「ブラックジャック」の顔の傷のように目立ったものですが、当時の研修の勲章と思い、それを見ては医師のなりたての頃を思い出している次第です。

6月から開西病院の内科医師として勤務しておりますが、こちらの病院へ来て、また心気一転初心に戻って仕事をするつもりですのでよろしくお願いいたします。


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