職場体験で今度は中学生の質問に答えなくてはいけないことになりました
就職のときでもなんでもinterviewはあるもので
過酷な質問でもどうやって答えるかでそのひとの個性が垣間見えるというものですが、もうグットクエスチョン!の連続で当日頭がもつかどうか不安です。
頭の整理も含めてちょっと書いておきますね
もし職場体験の中学生たちが「出来る」子達だったらきっと来る前にこのブログを見て来てくれるはず。そうだといいな。楽しみに待ってますよ〜。
Q. 開西病院はどんなことを専門にやっているのですか? どんな科があるのですか?
整形外科が中心(表の顔)の病院で大抵の整形外科的疾患には対応できるようになっています。脊椎、上肢、下肢、側弯症、人工関節、関節鏡、靭帯再建、腫瘍、リウマチなど。その他に(いわゆる裏の顔である)外科がありまして、内科の先生方と合わせて病院が支えられています。整形外科というと「美容整形」を思い浮かべるかと思いますがそれは形成外科になります。皮膚科形成外科もありますので、皮膚疾患や形成外科にも対応しています。
ちなみに整形外科と書くと中国では(美容整形などの)形成外科の病院を指し、整形外科は骨科と書かれます。個人的には「骨科」のほうが混乱が少なくてよかったなあ。
Q. 職員は何人くらいいますか?
非常勤というたまにしか来ない先生を除いて、お食事やおそうじは他の会社に委託しているのでその方々を除いて、269人、だそうです(今確認しました)。
Q. 一日の主な仕事内容はどんなことがありますか?
とにかく、人と会う、仕事ですね。話す、検査をする、説明する、確認する、
などなど、普通は人と会うといっても握手ぐらいで触ったりすることはないでしょ?病院では触ったり押したり動かしたりします。そういう特殊なところです。
カルテを書く、書類を書く、というようなこともありますが、専門用語がいっぱいあるので普通の人はなかなか読めないかもしれません。暗黙のルールみたいなものまであります。場所が変われば人のカルテの読解も難しくなります。
整形外科ですから手術もあります。よく計画して、いいところで切って、体に分けて入って、骨を出して、うまく骨を切ったり金具を入れたり、何層も縫って、包帯を巻くところまでしっかりやります。
麻酔のかかった患者さんをベットからベットに移動させるような力仕事ももちろんあります。手術の後のキズをチェックしてきれいに消毒したり包帯を巻いたりするのも交代でやりますが、私はこのキズチェックの係が結構好きです。包帯巻くのって楽しいですよ。
Q. 一日の勤務時間はどのくらいですか?
朝8時前に来て、夜7時くらいに病院を出るのでだいたい11時間ぐらいでしょうか。がんばれば5時半に終わって帰ることも可能です。
昨日長崎先生と話していたら以前勤めていた病院では4年間ずっと朝7時から夜12時まで働いていたそうです。夜12時前に帰る事なんてなかったなあって。毎日夕食は出前のラーメンとか丼ものだったんだって!野菜たべないと元気でないですよねえ
Q. この仕事をしていて大変なことはなにかありますか?一番大変なこと、難しいことはなんですか?
患者さんが痛くて辛くて不機嫌で不幸でそのままその不幸をすべて丸投げされるのが大変です。「なんでもいいから治してくれ」という責任転嫁型ですね。不幸ってどうしてもひとからひとに感染しやすいものなんです。患者と医療者がチームになって一緒にがんばるのが理想的なのだといつも思います。治療が思い通りに全て100%うまくいくわけではないことも大変辛いです。全て100%みなさんに「よくなった」と言ってほしいのですがそうはいかないんですよね。あとは自分の体調が悪いときもつらいですね。
Q. この仕事をしていて良かったと思う事はなんですか? 一番楽しいことはなんですか?
医療という閉ざされた世界の「内側」に居れて良かった(笑)。きっと全然関係のない仕事をしていたら「医者は信用ならん、病院は嫌いだ」と思っていたと思います、それだけ外からはわかりにくい特殊な世界なんですよね。
楽しいことはいろんな人に会える事。しかもどんなにエラい政治家だろうがスポーツマンだろうがどんなに有名な芸能人だろうが、そのひとと「同等」の立場で話せるのはすごいことだと思います。同等どころかちょっとえらそうにアドバイスまでできちゃうんですから。
Q. この仕事に就いて良かったと思うときはどんな時ですか?
家を借りるときとか車を買うときとか文句無しにすぐさま信用してもらえるとこと。社会的に確立されたポジションがあるのは日常生活が楽ですね。
あ、本当は患者さんに喜んでもらった時、ていうのがいい答えでしょうか。
Q. 仕事中に心がけていることはなんですか?
主観的でもあり同時に客観的でもありたい。患者さんを自分の母だと思って治療しなさいと言われますが、やっぱりほんとうの母だとあまりにも主観的になりすぎてうまく治療できないだろうし、もちろん、自分自身のことになったらもうどこにも客観性がなくなってただのほくろを「このほくろは癌だろうか?」と本気で心配しはじめたりして平静を失ってしまいます。赤の他人であれば客観的すぎて数字だけ見てしまうような「情」に欠ける医療になってしまいます。その中間をうまくバランスとれるようになりたいなあと。
Q. 看護師、医師で大切なことはどんなことだと思いますか?
これひとつ、という答えはないですね。もし20年前の中学生だった自分に必要だったもの、ならば、知的好奇心のすすめです。薄っぺらな知識ではなくもっと深く理解した知識、自分で食い下がって掘り下がってこだわってみるのは大事だなあ。それが結局自信になる。今後の日本のキーワードは「自信」だと思います。自信があれば自分も他人も大事にできますから。
Q. 医師不足が問題になっていますが何か困っていることはありますか?
帯広は比較的医療には恵まれていると思います。やはり地方に行くと、医師不足の現状があり、患者さんの立場でも働く医療者の立場からも両方大変だと思います。特に緊急の事態で、治療が遅れることによって命に関わったり予後にかかわったりするような時、近くにきちんと対応してくれる病院がないのは不安であり、苦痛であり、そして不公平だと思うのです。医療というのは教育と同じで誰にでも平等にアクセスできる状態にあるのが理想だと思うのですが、その理想を実現させるには今度は国民の税金がかかりすぎて国が破産してしまうことになりかねません。
Q. 医師不足に対してこれからどう対処していくべきだと思いますか?
うわ〜 こんな難しい問題、答えられません。実際ほんとうに医師は不足しているのかどうか、というところから議論がされているのですからねえ。
他の人々がどんな風に考えてるのかちょっと他のサイトからの医師不足を解消するために、どのような施策を進めるべきか、いろんな意見を出しておきますので(むずかしいですが)見て下さい
・勤務医の労働環境の改善(長時間労働の解消、給与の増額など)
・女性医師の離職防止・復職のための支援(短時間勤務制度の整備など)
・産科、小児科、救急、へき地医療への支援(診療報酬増額、医師への直接的なインセンティブ制度など)
・医療事故における訴訟リスクの低減(無過失補償制度の整備など)
・医療事故における刑事処分の見直し
・医師配置基準の見直し(常勤ポストの増加)
・病院機能の集約化
・卒後臨床研修制度の見直し
・指導医、大学教員の待遇改善
・コメディカルの増員、ルーチンワークのサポート
・専門医数のコントロール
・在宅医療の推進
・崩壊した医局制度の復活
Q. 救急車をタクシー代わりに使ったりちょっとしたことで病院に来る患者さんがいるときいた事がありますが、開西病院では実際にそういうことがありましたか?
これもよい質問ですねえ…
最近は救急のトリアージという優先順の区別をつけるやりかたが浸透してきたので、ずいぶん救急車がタクシー代わりという患者さんは減ったような気がします。
実際「ちょっとした」打撲とか切り傷とか腰痛で病院に来るひとが外来診察の60~70%くらいにはなるかなあ…かなりの数ですよ。もちろん患者さんのほうは「ちょっとした」なのか「治療が必要な重大な」なのかの区別がつかないことも多いのだとは思いますが、慌てて救急外来に駆け込む前に、本来ならばもう少し「様子をみる」おばあちゃんの知恵を身につけて医療費をうまく節約してほしいですね。
当日またいろいろお話しましょう。